[プレスリリース] |
2008年9月2日
アビームコンサルティング株式会社
アビームコンサルティング株式会社
「内部統制の現在・過去・未来~J-SOX対応状況調査」を発表
上場企業のJ-SOX対応の取り組みと、法対応を超えた今後の
「内部統制」実現に向けたアクションを提示
アビームコンサルティング株式会社(代表取締役社長 西岡 一正、東京都千代田区、以下
アビームコンサルティング)は、上場企業を対象に、各企業のJ-SOX対応への取り組みに関する調査を実施。この調査結果をもとに企業の現状を分析し、発生が推察される事象を抽出、それらに対し今後取るべきアクションを提示したレポートをこのたび発表しました。
調査時点で7割を超える企業が整備・構築の段階であり、評価の実施手順やリソース・スキル不足を課題として挙げた企業が半数近くに上りました。また評価担当者1人当たりのキーコントロール(注1)数は約100に上ることなどが明らかになっています。
これらの中から特に顕著な傾向が現れた調査結果を、「整備・構築に関する傾向」「評価に関する傾向」「課題」の3つのカテゴリーにまとめています。また、回答企業を3つのグループに分類し、それぞれの企業群に特徴的な傾向も抽出しています。 ■ 調査結果サマリー
1. 全体的な傾向として、整備・構築面と評価面のそれぞれについて、次のような傾向が見られた。 -整備・構築面-
傾向1) 全社的な浸透に向けた社内的な取り組みが十分でない
7割の企業が、内部統制対応を全社的に浸透させるための取り組みを一つ二つ程度しか行っていないことが判明した。内部統制対応責任者(プロセスオーナー)を任命するという取り組み(46%)が最も多かったが半数に満たず、それ以外の取り組みも3割程度にとどまっていた。よって、ほとんどの企業では、全社的な浸透に向けた取り組みが充分に行われているとは言い難い。 傾向2) 本番初年度も整備・構築作業が行われている
全社的統制については73%、業務プロセス統制(注2)については76%の企業が、調査時点で文書の更新作業や統制のための業務改善を終えていない状態にあり、多くの企業は内部統制の整備・構築作業を継続している最中であることが判明した(図2-1、図2-2)。図2-1 全社的統制に関する規程・マニュアル類の現在の状況

図2-2 業務プロセス統制に関するリスクコントロールの洗い出し状況

また、全社的統制では50%、決算・財務報告プロセス統制では57%、業務プロセス統制では72%もの企業で、不備が発生している。このことから、今後も不備の是正が必要となるため、整備・構築が続くことになる(図2-3)。図2-3 不備の発生状況

傾向3) 多くの企業が実施基準に忠実
全社的統制の評価項目の構成要素については、79%の企業が、実施基準が例示する42の評価項目に紐付けて質問を構成していた。また、勘定科目の絞込みについても、82%の企業が、実施基準が定めている3勘定に限定して評価対象プロセスを選定していた。このように、多くの企業が実施基準に忠実に進めようとしていることが判明した。 -評価面-
傾向4) 実施手順や体制準備が課題
約4割の企業が、課題として「評価の実施手順が定まっていない」(全社的統制及び決算・財務報告プロセス統制:42%、業務プロセス統制:38%)を挙げた。また、体制に関して、過半数の企業が、評価人員のリソース不足(54%)やスキルセット不足(54%)を挙げている。多くの企業が評価の段階にシフトしているが、実施手順の策定や評価体制の構築が課題であることが判明した。 傾向5) 内部監査部門の独立的評価の対象は1人あたりおよそ100のキーコントロール
評価の中心となるのは内部監査部門であり、独立的評価担当者1人当たりの担当キーコントロール数は95にも上ることが判明した。 2.回答企業を、企業の「規模」 と「複雑性」によって3つのグループに分けたところ(注3)、次のような傾向が見られた(下図参照)。
■ 考察
1) 今後のアクション
前述の5つの全体的傾向に関して、取り組み状況がこのまま推移した場合に推察される事象と、当該事象を回避する、または当該事象に対応するために有効と思われる今後のアクションの関係を下図にまとめた。
「全社的な浸透に向けた社内的な取り組みが十分でない」という傾向については、「現業部門の当事者意識欠如により内部統制の品質が低下する」という事象が推察される。これに対しては、内部統制を推進する機能を持つ主体を確立し維持・継続していくことが有効である。具体的には「内部統制推進機能」と「プロセスオーナー」との双方の調整で統制要件を具体化し、企業内に浸透させることが重要である。
「本番初年度も整備・構築作業が行われている」という傾向については、「時間的制約の中で、監査を通すためだけに非現実的な統制を設定し、業務効率が低下する」という事象が推察される。これに対しては、BPR(ビジネス・プロセス・リエンジニアリング )の推進により監査対応と業務効率をバランスよく両立させることが有効である。具体的には、業務の標準化やERP導入などによるアプリケーションの統合、及びSOA(サービス指向アーキテクチャ)の確立が必要である。
「多くの企業が実施基準に忠実」という傾向からは、「現在は法対応のみだが、企業価値向上につなげるためにはさらなる取り組みが必要とされる」ことが推察される。これに対し、企業を取り巻くあらゆるリスクについて全社的にコントロールするための体制を敷く「統合リスクマネジメントの構築」により、企業価値を向上させることが可能となる。
「実施手順や体制準備が課題」という傾向からは、「評価作業が準備不足のまま実施され、非効率となる」という事象が推察される。これに対するアクションとしては、評価業務の共通化・標準化を図り、評価実施手順をより明確にすることが有効である。また、評価ツールの活用により評価手順の実施状況を一元管理し、標準化された評価作業をモニタリングすることで適切な指示を可能にすることが挙げられる。
「内部監査部門の独立的評価の対象は1人あたりおよそ100のキーコントロール」という傾向について推察される事象は「1人当たりの評価ボリュームが大きいため、評価の品質が低下する」ことである。これに対しては評価人員の拡充が喫緊の課題であろう。業務と会計の両方に精通し、経営にも明るい人材は稀有であり、解決策としては評価BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)が有効であると言える。
2) グループ別の今後のアクション

前述のいずれのアクションも、全ての企業が実施することが望ましいが、グループごとに置かれた状況が異なるため、優先順位には違いがある。
今回の調査を受け、アビームコンサルティングのプロセス&テクノロジー事業部J-SOXイニシアチブ統括、中野 洋輔は、以下のように述べています。 「今回、多くの企業に御協力いただき、J-SOX対応状況の今を浮き彫りにする事ができました。対応初年を迎えている今、対応企業全体の傾向及び他社企業の動向が、気になっている事と存じます。この調査が、皆様企業に置かれます、内部統制への取り組みの一助とならん事を切に願って止みません。また、レポートでは、これまでの内部統制の推移と今後の求められるアクションについても、あわせて記載させて頂きました。「現在・過去・未来」について、再確認いただく事により、今後の経営判断の参考になると確信しております。協力各社様には、この場を借りまして感謝のお礼を申し上げますと共に、今後ともアビームコンサルティングを更に御利用いただけたら、と思っている次第でございます。」 以上 本件に関するお問い合わせ先
アビームコンサルティング株式会社
マーケティング部 広報担当 秋元
住所:〒100-0006東京都千代田区有楽町1-10-1有楽町ビルヂング
電話:03-3501-8355 FAX:03-5548-7237
調査時点で7割を超える企業が整備・構築の段階であり、評価の実施手順やリソース・スキル不足を課題として挙げた企業が半数近くに上りました。また評価担当者1人当たりのキーコントロール(注1)数は約100に上ることなどが明らかになっています。
(注1)実施基準で定めるところの「統制上の要点」
本調査は、アビームコンサルティングが上場企業における基本的な内部統制対応方針や、取り組み方、体制、課題などを明らかにし、今後の方向性を示す目的で実施されました。2008年3月から同5月にかけ、東証・大証の一部・二部上場企業、および、マザーズ・ジャスダック上場の従業員300名以上の企業など計2,800社の「J-SOX」「内部統制」「経理」「財務」の担当役員、部長宛に質問票を郵送し、302社から回答を得ています。これらの中から特に顕著な傾向が現れた調査結果を、「整備・構築に関する傾向」「評価に関する傾向」「課題」の3つのカテゴリーにまとめています。また、回答企業を3つのグループに分類し、それぞれの企業群に特徴的な傾向も抽出しています。 ■ 調査結果サマリー
1. 全体的な傾向として、整備・構築面と評価面のそれぞれについて、次のような傾向が見られた。 -整備・構築面-
傾向1) 全社的な浸透に向けた社内的な取り組みが十分でない
7割の企業が、内部統制対応を全社的に浸透させるための取り組みを一つ二つ程度しか行っていないことが判明した。内部統制対応責任者(プロセスオーナー)を任命するという取り組み(46%)が最も多かったが半数に満たず、それ以外の取り組みも3割程度にとどまっていた。よって、ほとんどの企業では、全社的な浸透に向けた取り組みが充分に行われているとは言い難い。 傾向2) 本番初年度も整備・構築作業が行われている
全社的統制については73%、業務プロセス統制(注2)については76%の企業が、調査時点で文書の更新作業や統制のための業務改善を終えていない状態にあり、多くの企業は内部統制の整備・構築作業を継続している最中であることが判明した(図2-1、図2-2)。
(注2) 決算・財務報告プロセス以外の業務プロセス統制を単に「業務プロセス統制」としている。


また、全社的統制では50%、決算・財務報告プロセス統制では57%、業務プロセス統制では72%もの企業で、不備が発生している。このことから、今後も不備の是正が必要となるため、整備・構築が続くことになる(図2-3)。

傾向3) 多くの企業が実施基準に忠実
全社的統制の評価項目の構成要素については、79%の企業が、実施基準が例示する42の評価項目に紐付けて質問を構成していた。また、勘定科目の絞込みについても、82%の企業が、実施基準が定めている3勘定に限定して評価対象プロセスを選定していた。このように、多くの企業が実施基準に忠実に進めようとしていることが判明した。 -評価面-
傾向4) 実施手順や体制準備が課題
約4割の企業が、課題として「評価の実施手順が定まっていない」(全社的統制及び決算・財務報告プロセス統制:42%、業務プロセス統制:38%)を挙げた。また、体制に関して、過半数の企業が、評価人員のリソース不足(54%)やスキルセット不足(54%)を挙げている。多くの企業が評価の段階にシフトしているが、実施手順の策定や評価体制の構築が課題であることが判明した。 傾向5) 内部監査部門の独立的評価の対象は1人あたりおよそ100のキーコントロール
評価の中心となるのは内部監査部門であり、独立的評価担当者1人当たりの担当キーコントロール数は95にも上ることが判明した。 2.回答企業を、企業の「規模」 と「複雑性」によって3つのグループに分けたところ(注3)、次のような傾向が見られた(下図参照)。
- 「規模が大きく、複雑性が低いグループ」(以下、G1)は、評価にかける人数が相対的に多い。
- 「規模が大きく、複雑性が高いグループ」(以下、G2)は、評価面で海外拠点のリソースが不足する傾向があり、また評価ボリュームが相対的に多い。
- 「規模が小さいグループ」(以下、G3)は、最も整備・構築が遅れている。
(注3)【グループの分け方】:1.連結売上高が1,000億円未満の企業をG3(156社)とした。2.連結売上高が1,000億円以上の企業のうち、主要事業セグメント比率が67%以下または海外拠点売上比率が33%以上の企業をG2(60社)とし、それ以外をG1(83社)とした。なお、全グループの合計が回答数と一致しないのは、無記名回答で分類できなかった企業があるため。

■ 考察
1) 今後のアクション
前述の5つの全体的傾向に関して、取り組み状況がこのまま推移した場合に推察される事象と、当該事象を回避する、または当該事象に対応するために有効と思われる今後のアクションの関係を下図にまとめた。


- G1(規模が大きく、複雑性が低いグループ)は、評価にかける人数が相対的に多いため、評価業務を共通化・標準化することで、評価人員を削減し、コストを抑えることを優先すると良い(※2)。
- G2(規模が大きく、複雑性が高いグループ)は、評価担当者不足が大きな課題であり、外部人員の活用による評価人員の拡充が有効であろう(※3)。
- G3(規模が小さいグループ)は、整備・構築が遅れているため、内部統制推進機能を確立し、整備・構築を推進する必要がある(※1)。
今回の調査を受け、アビームコンサルティングのプロセス&テクノロジー事業部J-SOXイニシアチブ統括、中野 洋輔は、以下のように述べています。 「今回、多くの企業に御協力いただき、J-SOX対応状況の今を浮き彫りにする事ができました。対応初年を迎えている今、対応企業全体の傾向及び他社企業の動向が、気になっている事と存じます。この調査が、皆様企業に置かれます、内部統制への取り組みの一助とならん事を切に願って止みません。また、レポートでは、これまでの内部統制の推移と今後の求められるアクションについても、あわせて記載させて頂きました。「現在・過去・未来」について、再確認いただく事により、今後の経営判断の参考になると確信しております。協力各社様には、この場を借りまして感謝のお礼を申し上げますと共に、今後ともアビームコンサルティングを更に御利用いただけたら、と思っている次第でございます。」 以上 本件に関するお問い合わせ先
アビームコンサルティング株式会社
マーケティング部 広報担当 秋元
住所:〒100-0006東京都千代田区有楽町1-10-1有楽町ビルヂング
電話:03-3501-8355 FAX:03-5548-7237