エプソン販売株式会社

「商品+サービス」戦略を展開するプリンタービジネス基盤を構築。
IoT型課金ビジネスモデル造りを業務とシステムの両面で強力に支援。

革新的なプリンター課金ビジネスである「エプソンのスマートチャージ」の提供により、
ユーザーが導入しやすく、販売店が提供しやすい新たなビジネス領域を創造したエプソン販売株式会社。
このビジネス戦略の中長期にわたる成長基盤の実現をアビームコンサルティングが強力に支援している。

グループ割引やリース契約での対応 、消耗品自動補充機能の実現、官公庁向けメニューなどの機能追加は、SAP hybris BillingとABeamの的確なサポートで実現できました。

エプソン販売株式会社 販売推進本部 BP MD部(スマートチャージ)

長谷村 純氏
  • 課題
    • 低コスト、大容量インクの商品力を活かしたビジネスモデルの構築
    • ビジネスプリンターの販売拡大と競合優位性の確保
    • 課金ビジネスを実現する効率化された業務プロセスとシステムの整備
    • ユーザー及び販売代理店向けのサービスレベルの向上
  • ソリューション
    • 業務プロセスのフロースルー化
    • 機器情報を活用したIoT型ビジネスモデルの実現
    • 製品機能の設定(ノンプログラミング)で課金機能を実装
  • 効果
    • 課金ビジネスへの参入による新しい顧客獲得と販売拡大
    • 機器とサービスを組み合せた多種多様な価格モデルの素早い展開
    • プリンター機器情報を活用したユーザーサービス向上と販促支援
    • プリンターを中核とした課金サービスモデルのグローバル展開を創出

Story

プロジェクトの背景

カラリオブランドで市場をけん引するエプソン。
個人向けからオフィス向けへと大きく舵を切る

創業以来のコア技術である「省・小・精の技術」をベースに、世界中の人々に驚きや感動をもたらすことができる企業を目指すセイコーエプソン株式会社(以下、エプソン)。同社は、プリンティングソリューションズ事業、ビジュアルコミュニケーション事業、ウエアラブル・産業プロダクツ事業の3つのビジネス領域を中核に、エプソンブランドの製品およびサービスをさまざまな分野の顧客に提供している。

中でも大きな割合を占めるのが、プリンティングソリューションズ事業である。同事業は、登場から20周年を迎えた主力製品である個人向けインクジェットプリンターブランド「カラリオ」がけん引してきた。
しかし近年、世界的なオフィス向けインクジェットプリンター市場の拡大に伴い、カラリオブランドで培った技術とノウハウを活かし、全社としてオフィス向けインクジェットプリンター市場へと大きく方向転換をしている途中だ。

その一環として、エプソンブランドの製品およびサービスを中心とした情報関連機器を販売するエプソン販売株式会社(以下、エプソン販売)では、革新的なプリンター課金ビジネスである「エプソンのスマートチャージ(以下、スマートチャージ)」の提供を2014年8月より開始。セイコーエプソン製品の特性を活かした、企業が導入しやすく販売店 が提供しやすい新たなビジネスモデルの創造によ り、エプソン販売にしか実現できない独創の価値提供を目指している。

スマートチャージの実現にあたり、アビームコンサルティング(以下、アビーム)では、ビジネスモデル、及びプロセスの策定から、システムの構築、導入支援までを一貫してサポートし、プリンターから収集したデータを活用するIoT(モノのインターネット)型ビジネスモデルの構築を支援している。

■スマートチャージシステムの全体概要構成

プロジェクトを推進する上での課題

課金システムの独自開発に高いハードル。
SAPのセミナーでSAP hybris Billingと出会う

当初、エプソン販売では、スマートチャージの課金システムを独自に構築することを目指していた。しかし、2014年7月よりスマートチャージ契約の登録を開始し、8月より課金請求業務を開始することが決定したことから、短期間で確実かつ正確な課金システムを構築することが必要だった。そこでSAPのカスタマーエンゲージメント&コマースソリューション群の1つである「SAP hybris Billing」を採用することを決定した。

エプソン販売 取締役 経営推進本部長の佐藤賢司氏は、
「2009年から課金システムの独自開発に取り組んできましたが、仕様が複雑なこともあり、良い方法が見つかりませんでした。2013年末に、SAPのセミナーでSAP hybris Billingを知り、採用することを決定しました」と語る。

また、SAP hybris Billingの導入にあたり、SAPの導入実績と方法論や課金ビジネスに対しての豊富なノウハウを有するアビームが導入パートナーとして選定された。

アビームの選定理由

SAPの導入実績とノウハウでアビームを選定。
エプソン本社の会計システム刷新を評価

アビームが選定された理由を佐藤氏は、「親会社であるセイコーエプソンの会計システムを刷新するプロジェクトをアビームが支援しているときから存在は知っていました。お互い対等に意見を言い合える関係でプロジェクトを推進するやり方に対しての信頼度が高かったことがアビーム選定の最大の理由です」と話す。

アビームの支援により、2013年12月に要件定義フェーズからプロジェクトを開始し、スマートチャージのビジネス基盤を予定通りに8カ月で構築。続く、2015年4月にリース契約スキームに対応、2015年7月に消耗品自動補充機能をリリース、さらに2015年10月に、契約プランのバリエーション拡充やオプションプラン(FAX、搬入設置)を追加、新たな契約プランの追加で、官公庁や学校への導入案件に対応しやくなった。

佐藤氏は、「消耗品自動補充は、インクをはじめとするお客様のプリンター環境の消耗品を切らさないための必須の要件です。一方、サービスオペレーションを効率化できるので、業務部門としても作業負荷の軽減に役立っています。また、初期設置費を月分割払いにする搬入設置オプションにより、導入のハードルを下げることが可能になり、高い販売効果が期待できました」と話している。

■プロジェクト全体工程スケジュール

課題の解決策

SAP hybris Billingとアビームの課金ビジネスノウハウでスマートチャージの課金基盤を実現。
「モノ+コト売り」でビジネスの拡大を目指す

スマートチャージは、商品およびサービス力と販売力の強化を目的としたエプソン販売の新たな戦略プロジェクトである。これまでのインクジェットプリンターの特長を活かした新機種の投入に加え、新たなサービスを課金モデルで提供する「モノ+コト売り」により、ビジネスの拡大を目指すとともに、オフィス向けのコピー機やプリンター市場におけるシェアの獲得を目指している。
エプソン販売 取締役 販売推進本部長の鈴村文徳氏は、
「エプソンのインクジェットプリンターは、個人向け市場では大きなシェアを持っていますが、その反面、個人向けのプリンターというイメージが強く、オフィス向けプリンター市場ではまだシェアが少ない状況でした。そこで、『インクジェットプリンターは個人向けでレーザープリンターはオフィス向け』というイメージを払拭するための啓蒙活動を推進しています」と語る。

インクジェットプリンターは、すでにビジネスで利用できる印刷品質であることはもちろん、レーザープリンターでは印刷できないノリ付きの封筒、和紙などにも印刷できる。製造業のクリーンルームでも使用できるなど、環境面でもメリットが多い。さらにコスト面でのメリットも大きい。
鈴村氏は、「ある幼稚園では、モノクロの印刷物を配布すると、親からのクレームがくることもあるそうです。カラー印刷を安くお使い頂きたい」と話す。

スマートチャージでは、大容量タンクを搭載したインクジェットプリンターを、A4タイプは5,000円より、A3タイプは8,000円よりの月額基本料金で利用できる。
エプソン販売 販売推進本部 BP MD部(スマートチャージ)の長谷村純氏は、
「月額基本料には、一定枚数の印刷と保守と消耗品がオールインワンで含まれているので、お客様には、本体の調達、保守、消耗品の管理などのわずらわしさから解放されるというメリットがあります」と話す。

スマートチャージの実現にあたりアビームでは、顧客・契約管理から課金計算、請求処理、請求明細書までの業務プロセスのフロースルー化を実現した。
また、プリンターの印刷枚数に基づく料金プランや“グループ割引”などの高度な従量課金と請求機能を構築。さらに、SAP hybris Billingを利用して、設定ベース(ノンプログラミング)で開発を実行、拡張性の高い課金計算機能を短期に実現している。

導入効果

ビジネス展開に伴う追加変更に柔軟に対応。
トラブルなく短期間でサービスを立ち上げ

スマートチャージで提供されている“グループ割引”と呼ばれるサービスは、複数台のプリンターを導入している場合にコストメリットが得られるサービスである。一方のプリンターが契約印刷枚数を超過したときに、もう一方のプリンターに超過した枚数を振り分けることができるという他社にはないサービスであり、スマートチャージを導入している企業の約3割が契約している。
グループ割引は、課金システムの構築(設計)中に発生した要件だったが、サービスインと同時にサービスを提供することができた。

長谷村氏は、「グループ割引はもちろんですが、リース契約への対応や消耗品自動補充の実現、官公庁向けメニューなどの機能追加は、SAP hybris Billingの柔軟な開発環境とアビームの緻密なサポートにより実現できたサービスでした」と話す。

またエプソン販売 経営推進本部 情報化推進部 部長の五味智氏は、
「最大の効果は、トラブルなく、短期間でスマートチャージを立ち上げられたことです。SAP hybris Billingは、国内初の導入というリスクもありましたが、アビームのサポートにより安心して導入できました。SAP hybris Billingは、ビジネスの変化に即応できるスピード感、拡充性、さまざまな課金体系に対応できる優れたパッケージでした」と話す。

五味氏はさらに、「本番稼働まで8カ月しかない状況で、次々と仕様変更が発生しました。特にリース契約への対応では、サービス内容も課金方法も契約内容も大幅な変更が発生するので、アビームには大きな負担をかけてしまいましたが、非常に素晴らしい課金システムを構築することができました。その意味で、アビームを選定した判断は、正しかったと思っています」と話している。

今後の展望

進化するスマートチャージの課金システムやプリンター事業のグローバル展開を視野

今回、短期間でスマートチャージを実現したプロジェクトは、全社的に高く評価されており、スマートチャージで採用されたSAP hybris Billingベースの課金システムをグローバルに展開していくことも検討されている。また、インクジェットプリンターを中核としたビジネス戦略も、グローバル展開が計画されている。

佐藤氏は、「スマートチャージは、ようやくスタート地点に立ったところ。ビジネス基盤としての整備はこれからが本番です。やるべきことは、まだまだたくさんあります。今後も業務や課金に対する知見、CRM(顧客営業)基盤の構築に向け、アビームとSAPの強力な支援を引き続き期待しています」と話す。

また鈴村氏は、「スマートチャージは、5年後に再契約してもらえるスキームの実現を検討していく段階です。すでに、お客様や販売代理店から多くのフィードバックをいただいており、これにも応えていかなければなりません。今後、アビームには、サービス改善や業務改革に対するサポートも期待しています」と話している。

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